週末はウイルス性肝炎関連の研修会で浦和へ、夕べはワクチンの講演会で越谷へと、ここのところ頑張って勉強しています。
HPV(人パピローマウイルス)ワクチン、積極的な接種の勧奨が控えられてはや5年半が経過しています。
現状はどうなっているのか、自治医大埼玉医療センターの今野先生の講演を聞きに行ってきました。
子宮頸がんは癌はHPVというウイルスによって引き起こされる感染症が原因の癌です。
40代でなくなる方が割合的に多く、非常に若い方の癌です。
上皮内癌になる方の平均年齢は35歳とのことです。
年間こちらの癌で3000名の方が他界されています。
ZARDのヴォーカルだった坂井泉さん、進行がんで自ら命を絶たれたのが私としては衝撃的な記憶で残っています。
2015年での子宮がん検診を受けた若年女性の疫学研究をおこない、予防接種を打った方には現時点のワクチンでも69%の効果が出ていると、
今年の5月に今野先生方が論文を出されたところだそうです。
100%にならないのは、ウイルス型が何種類もあり現行のワクチンでは予防できるものがすべての型をカバーしていないためですが
かなりの割合の癌の前段階を予防できていることになります。
HPVワクチンが定期接種化されたとたんに、長く続く全身(注射した局所ではなく)の痛みや精神障害、不随意運動などの報告がされ、
これが注射が原因の副反応なのか、それとは無関係にたまたま発症した疾患なのか証明できないまま
大騒ぎとなり、ばたばたと事実上の接種中止となってしまいました。
この間、WHOではこちらのワクチンは安全であるという宣言を出していたのですが、
新聞記事では副反応として報道したものが399本、WHOの宣言を肯定的なものとして報道したものが43本で
圧倒的にHPV悪という印象が広まってしまいました。
でも、お話を聞いて私自身、ほかのワクチンと比べて、メリット対デメリットがそんなに劣るとは思えませんでした。
年間3000例の死亡を原因の劇的に減らすのと、5万例に一例の重篤な有害事象、どちらも当事者になれば重いものではありますが、
全体としてとらえれば、ワクチンを行う方に軍配を上げたいです。
私には娘はいませんが、いたらやはり受けさせておきたいと思った次第です。
今野先生も、いろいろ苦労された感じで再開はなかなか難しいとおっしゃっていましたが
5月の論文をきっかけに、厚労省の英断を仰ぎたいと思います。