心房細動について

今回発行のクローバーだよりに載せたお話をこちらにも転記します。

一般の方からすると結構珍しい病気ですが、心房細動を取り上げたいと思います。
心房細動というのは、不整脈の一種です。

こちらの不整脈が出ていても心臓が急に止まって突然死してしまうことはありませんが、
急に大きな脳梗塞を起こしてしまうことがあります。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、長嶋茂雄さんがそうです。

心房細動は、自覚症状が出る方もいますが、全く動悸を感じない方のほうが多いかと思います。その場合は心電図検査を検診などで受けた時に、指摘されることになります。

治療について古くは、抗不整脈薬で心房細動を正常の脈に戻すのが主流の考え方でしたが、2002年に心房細動で不整脈の薬を飲んでいる人といない人で、生存率は変わらないという世界的にインパクトのある論文が出てから一変しました。
これ以降は、抗不整脈薬で不整脈を止めることには固執せず、脈拍が早すぎないようにコントロールするだけになりました。そして、さらに現在、薬ではなくカテーテルによる手術で不整脈を治すカテーテルアブレーションという治療も、心房細動に対して、広く行われるようになっています。手術療法は、動悸の自覚症状があり、心房細動が出たり止まったりしている方に向いています。
また、心臓の治療とは別に、左心房内に血液の塊ができてしまい、それがちぎれて心臓から血流にのって押し出され、脳血管に詰まって脳梗塞を起こすことが広く知られるようになると、抗凝固療法という血をサラサラにして固まりにくくする薬を飲む治療が一般的になりました。こちらの薬、以前はワーファリンというものだけでしたが、ここ5年ほどでDOACといわれる、比較的出血の副作用の少ないお薬が新たに加わっています。これらの薬を予防的に始めるかどうかは年齢や合併症の有無など個人によって違いますので、ご相談ください。